■天気図は、気象庁の各種データ・資料『過去の天気図』より当日午前9時データを抽出。高島おばけ（=上位蜃気楼）が発生する時は、北海道近辺に等圧線が横か斜めに1本以下で、東経130度～150度間で北緯30度～40度に高気圧（H）、北緯50度～60度に低気圧（L）があるようなケースが多いと思われます。今回もこれに該当するようです。

■石狩湾周辺観測所の風向・風速データ推移（午前9時～午後6時の毎時データ）を地図上にわかりやすく見える化しました。2秒毎に切り替わるアニメGIFです。ぜひ新たな発見を皆さんで見つけてください。もちろん、気温と海水温との差（=温度差）が日中およそ10℃以上あることが大原則です。
▲手稲山口側では、石狩平野全体に南～南東方向の風が吹き続いていても、ある時間帯からこの観測所だけその風向きに対しクロス、または逆方向（主に北西方向）に切り替わるとその数時間以内に蜃気楼が発生しやすい傾向があります。今回はそのパターンでしょう。特に札幌の風向きと比較するとよいかもしれません。
▲小樽側では風向きが変わって発生するのではなく、ほぼ一定方向の弱い風（北東～東方向）の空気層が地形の関係で滞留し、下側にある空気層が海面近い位置で冷やされるため、『上暖下冷』という環境が整ったことになり発生したと考えられます。おそらく今回はこのパターンでしょう。
ちなみに、このサイトに掲載しているサンプルでは小樽側の大規模蜃気楼は風速1.3m/s～2m/sで発生しています。このような穏やかな日や時間帯は少ないので、一般の方は風速2.5m/s～3m/s以下になるような日や時間帯を選ばれて見に出かけたり、観測するようにしてはいかがでしょうか？